大山パワー -常温核融合技術-

エネルギー論

 人間の歴史はエネルギー利用の歴史でもあります。太古から現代にいたるまで、人はどのようにしてエネルギーを活用してきたのかを俯瞰してみます。そして私たちの未来を、エネルギーの利用の観点で考えてみましょう。

エネルギー利用の歴史

 人類とエネルギーの関係は、古代にを利用し始めたときから始まりました。薪(まき)が、人が自由に活用できた最初のエネルギー源でした。火は、明かりをともし、暖をとり、食料を料理し、獣から身を守るなど、古代の人々の生活を助けました。また、火以外にも水力風力など、自然の力をうまくエネルギーとして使うようになります。

■産業発展を支えた石炭・石油と、様々なエネルギー

18世紀になると産業革命が起こります。石炭がエネルギーの主役となり、近代工業の発展を支えました。19世紀からは電気、石油という新しいエネルギーの活用が実用化し、社会インフラの高度化が進みます。石油は、発電、熱源、石油化学製品の製造など、さまざまに利用されるようになりました。
 20世紀になると太陽光原子力などによる新たな発電技術が生み出されています。自然エネルギー利用も、水力や風力に加えて地熱波力など、様々なエネルギーを取り出して活用する技術が発達しています。

■現代も進むエネルギー技術のイノベーション

 近年では、発電用タービン稼働時の排熱をさらに蒸気タービンによってエネルギーを取り出して発電効率を向上するコジェネレーションなどの技術が開発されています。送電、蓄電などの技術の向上も進んでいます。
 また水素という新たな二次エネルギー(電気のように、他のエネルギー源から変換して生み出され活用されるエネルギー)の実用化が進みつつあります。21世紀に入ると米国でシェールガス・石油の資源利用技術が実用化するなど、エネルギーは現代においても新エネルギー源の利用の実用化などのイノベーションが起こっています。

■国・地域ごとのエネルギー・ミックス戦略

 今日の社会では、国・地域ごとに、地政学的な事情を踏まえて、独自のエネルギー・ミックスによる最適化を図っています。エネルギー・ミックスとは、様々なエネルギーを組み合わせて活用する方法です。化石資源がある国はその資源の利用が柱となります。地理的に水力や風力を利用しやすい国はその活用を進めやすくなります。

 人類の歴史の中では、さまざまなエネルギー源を発見し、その活用技術を高度化させながら産業と文明を発展させてきました。人類の発展はエネルギー利用の発展とともにあるといえます。

エネルギーの課題

 人類はエネルギーの活用によって発展してきましたが、同時にエネルギー利用に関わる様々な課題が生まれています。

■化石エネルギーの環境・気候変動リスク

 エネルギー源の中心である石油などの化石エネルギーは、排出ガスによる環境影響や気候変動のリスクが懸念されています。また化石エネルギー源の供給は特定の産出国に依存するため、様々な要因によって国際経済の不安定化を引き起こすリスクがあります。

■代替エネルギーへの期待と、その課題

 化石エネルギーの代替として再生可能エネルギーの利用による問題解決に期待されました。再生可能エネルギーは、自然由来のエネルギーで、その消費が、自然の作用によってほぼ再生される、持続可能なエネルギーと定義されます。
 しかし、再生可能エネルギーは化石エネルギーに比べてコスト高で、電力供給の安定性の点や、出力調整のしやすさの点などに課題があります。そのため化石エネルギーを完全に置き換えるものとはなりません。
 原子力は再生可能エネルギーと同様に期待され、日本やいくつかの国において、重要なエネルギー源として開発・実用化が進みました。しかし、原子力発電所事故の発生以降、安全性の確立や、放射線廃棄物の処理などの重大な課題を解決することが、その活用を拡大する前に取り組むべき重要な課題となっています。

■エネルギーの選択とインフラ整備

 現時点で、単体で完全なエネルギー源というものは存在していませんし、化石エネルギーも代替エネルギーもそれぞれ課題がある状況です。また、エネルギーインフラの構築は、国家プロジェクトの規模の投資と長い期間を必要としますので、どのようなエネルギー源を選択し、技術開発を進め、供給体制を整備していくかは、国や地域として大変重要な選択となります。

エネルギーの未来

 現在は、国・地域ごとに、エネルギーの供給と消費の戦略を最適化させています。現状のエネルギー・ミックスの最適化と合わせて、近い将来のエネルギーバランスの最適化に向けた取り組みも難題です。

■多岐にわたる研究開発が重要

 エネルギーの未来につながる、様々な研究や開発は世界中で進められています。新しいエネルギー源、発電の技術、配送・蓄積の技術、省エネルギー化技術、運用システムなど、多岐にわたる様々な取り組みが必要です。また核融合エネルギーなど、新エネルギーに関わる国際プロジェクトも推進されています。

■エネルギー消費をどのようにコントロールするか

 エネルギーの課題は、供給面だけではありません。世界のエネルギー消費量は右肩上がりに増大を続けています。消費量そのものを合理的に抑制していくことが重要な課題となっています。産業の発展と、エネルギー消費抑制のバランスをどのようにとるかは難しい課題となっています。

■エネルギーの未来=全人類的な取り組み

 エネルギーの歴史を振り返り、今後のエネルギーにおける課題について述べてきました。エネルギーにおける課題は、エネルギー戦略、イノベーション、エネルギー消費の視点も含め、まさに全人類的な取り組みが鍵を握っているといえます。