日本のエネルギーの構造
日本は、諸外国に比べてエネルギー資源が豊富にあるとは言えず、また陸続きの隣国もないため送電線等による国をまたいだエネルギー供給も難しいため、エネルギーの安定供給は重要な課題です。一方、発電や送電など、効率的にエネルギーを利活用する技術で世界をリードしています。
日本の発電の構成:
1)ベースロード:発電(運転)コストが、低廉で、安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる電源となる・・地熱、一般水力(流れ込み式)、原子力、石炭。
2)ミドル電源:発電(運転)コストがベースロード電源の次に安価で、電力需要の動向に応 じて、出力を機動的に調整できる電源となる・・天然ガ スなど。
3)ピーク電源:発電(運転)コストは高いが、電力需要の動向に応じて、出力を機動的に調整できる電源となる・・石油、揚水式水力など。
日本のエネルギーの課題
いつの日か化石資源が枯渇した後に、どのようにエネルギーを確保していくかは重要な課題です。エネルギーの海外依存構造を変えるというエネルギー自立の路線を構築するとともに、安全確保・エネルギー安全保障・脱炭素化・競争力強化を実現するための希少資源としての技術を活かす方策が必要となります。全ての技術的な選択肢の可能性を追求していく必要があるといえるでしょう。
エネルギー関係技術開発の計画・ロードマップ
多くの資源を海外に依存せざるを得ないという、我が国が抱えるエネルギー需 給構造上の脆弱性に対して、エネルギー政策が現在の技術や供給構造の延長線上 にある限り、根本的な解決を見出すことは容易ではない。
課題を根本的に解決するためには、革新的なエネルギー関係技術の開発とそのような技術を社会全体で導入していくことが不可欠となる
2014年12月 「エネルギー関係技術開発ロードマップ」を策定 エネルギー関係技術開発プロジェクトを全体として整合的に進めていくための戦略 目標を定め、開発の時間軸と社会実装の方策を明確化
2016年4月 「エネルギー革新戦略」を策定 のエネルギーミックスの実現を図るため、省エネルギー、再生可能エネルギーをはじめとする関連制度を一体的に整備
2016年4月 「エネルギー・環境イノベーション戦略」を策定 抜本的な削減を実現するイノベーション創出
日本のエネルギー戦略のポイント
1)東京電力福島第一原子力発電所事故を経験した 我が国は、再生可能エネルギーの2030年エネルギーミックスの実現とそれに 止まらない導入を追求しながら可能な限り原発依存度を低減する姿勢が求めら れる
2)化石資源に乏しくパイプラインや送電線で他国とエネ ルギーを共有することが容易にはできない島国である我が国は、常にエネルギー 技術という希少資源を開発し確保しなければならない
あらゆるエネルギー技術の選択肢を維持し、その開発を継続していく
1)2030年のエネルギーミックスの実現
日本のエネルギー政策の基本的視点(3E+S) ・・安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、経済効率性の向(EconomicEfficiency)による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に、環境への適合(Environment)を図る
国際的な視点の重要性
経済成長の視点の重要性
多層化・多様化した柔軟なエネルギー需給構造の構築
各エネルギー源が多層的に供給体制を形成する供給構造の実現、
エネルギー供給構造の強靱化の推進、
構造改革の推進によるエネルギー供給構造への多様な主体の参加
需要家に対する多様な選択肢の提供による、需要サイドが主導するエネルギー需給構造の実現
海外の情勢変化の影響を最小化するための国産エネルギー等の開発・導入の促進による自給率の改善
国内外で温室効果ガスの排出削減を実現するための地球温暖化対策への貢献
1)2050年を見据えたシナリオ
長期展望については、技術革新等の可能性と不確実性、情勢変化の不透明性があり、予測が困難
野心的目標を掲げつつ、柔軟に重点を決めていく複線的なシナリオによるアプローチが必要
指標 省エネルギー、ゼロエミッション電源比率、エネルギー起源CO2排出量、電力コスト、エネルギー自給率