大山パワー -常温核融合技術-

核融合技術とは

核融合技術は実用化に向けて研究が進められています。研究のメインストリームは「磁気閉じ込め型核融合」です。高温のプロセスであり「熱核融合」とも呼ばれます。水素の同位体の重水素(D:デューテリウム)と3重水素(T:トリチウム)の2つの原子核を核融合させてエネルギーを取り出します。この組み合わせをD-T核融合と呼びます。トリチウムは、福島第一原子力発電所事故の時の流出で有名になった放射性物質です。重水素同士でも核融合は起こすのですが、D-T核融合の方が100倍位核融合反応を起こし易いことから、国際熱核融合実験炉ITERで選ばれた組み合わせです。D-T核融合が起きるとヘリウムと中性子が生成されます。中性子が出るので直接プラズマに接する内壁などを構成する物質を放射性物質に変えます。

地球上の水素全体の中での重水素の割合は、比率としては0.015%と僅かではありますが、地球上には水の形で水素が多量に存在しますので、エネルギー資源としてはほぼ無限と言えるほどの量が存在しています。トリチウムの方は半減期が12年と短い為、自然界には存在しません。重水炉という形式の核分裂炉の中で、重水として酸素と結合している重水素に中性子を吸収させてトリチウムを生産します。

プラズマに接する内壁には色々な機能を持たせた構造体のブランケット(blanket)があります。ITERはブランケット内にリチウムという物質を置くことでトリチウムを再生産する計画です。リチウムは中性子を吸収することでヘリウムとトリチウムに分裂します。リチウムは水より軽い金属で180.54 °Cで液体になります。高速増殖炉の「もんじゅ」で様々なトラブルの原因となった冷媒に使われたナトリウムに似た性質の物質ですので、中性子を吸収しにくい元素との化合物を使うことになります。最近はリチウム電池として安全性を高めて使われていますので、この点は対策できそうです。それでもブランケットには、高速中性子を減速して遮蔽し、燃料を生産し、反応熱を取り出すと言う3つの役割を果たさせようとしていますので、開発には困難が予想されます。